人はそう簡単には変われない、でも変わりたいんだ!

書評

「正解を出す力」にもはや価値はない!
情報社会時代にどのように生きれば良いのか?それを知りたければこの本を読みましょう。
ニュータイプの時代
山口 周 著

ニュータイプの人:1.0 
オールドタイプの人:5.0
真ん中の人:3.5

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あなたはどっちのタイプ?

世界全体でモノが飽和しており、量的な生産は意味をなしていない昨今、優秀といわれていた人材、オールドタイプが急速に価値を失っています。
今後活躍するためには、ニュータイプになる必要があると著者は述べています。

オールドタイプ → ニュータイプ
・正解を探す → 問題を探す
・予測する → 構想する
・KPIで管理する → 意味を与える
・生産性を上げる → 遊びを盛り込む
・ルールに従う → 自らの道徳観に従う
・一つの組織にとどまる → 組織間を越境する
・綿密に計画する → とりあえず試す
・奪い、独占する → 与え、共有する
・経験に頼る → 学習能力に頼る

自分はどちらのタイプだと思いますか?

確かにクソ仕事を無くしたい

イギリスの経済学者J・Mケインズは1930年に「100年後は人間が週に15時間働けば十分に生きていける社会がやってくる」と予言していました。
確かに日本人口に対する農業従事者割合とカロリーベースの食料自給率は
・1960年の農業従事者割合:約12.5%(1175万人/9430万人)、食料自給率:79%
・2018年の農業従事者割合:約1.3%(168万人/12644万人)、食料自給率:38%
(総務省、農林水産省統計データより)

つまり、国内食料自給率100%を目指すなら、1960年には日本人口の約15.8%(約1487万人)が必要だったのが、2018年には日本人口の約3.4%(約442万人)と60年間で約500%の効率化しています。今後の効率化がさらに進むと、(全体的にかなり短絡的な)単純計算ですが、AIなどの技術革新も進めば、次の半世紀で農業従事者の割合が人口の約0.1%以下になる可能性もあります。
ケインズが予想していた週15時間の働き方は実現可能な気がします。

このように衣食住の食で劇的な効率化が起こっている一方で、(残りの人口に含まれている)ホワイトカラーの仕事が減っている気はしません。自分の感覚でも全く減っている気がしない!むしろ組織を保つためのクソ仕事が増えていると感じています!!!
本書ではそのことに関して、自由になると人間は不安を抱えると述べています。
しかし、結局のところオールドタイプの思考の人間が蔓延してしまって、その人らが変革できていないのが原因でしょう。というか、この本はその人らを駆逐するために書かれた自己啓発本であると思います。

逃げまくれ、試しまくれ

本書では、クソ仕事が蔓延している場所から逃げまくって、好奇心に従ってどんどん試して、上手に撤退することを勧めています。
これはHow toを表しているので、ふろむださんの本(人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている)でいうところの自分で運をコントロールしろという意味と私は捉えました。

特にビジネスの世界においては、1勝9敗でも十分にやっていける(実際は1割以下だと思いますが)と言われています。予測できない未来に対して、試行回数を増やすことが我々が取れる唯一の対抗策です。インターネットやモノのコモディティ化が進んでる現代において、挑戦のコストはかなり安くなっています。スマートフォンとネット環境のみで出来る仕事、つまり15万円くらいあれば、事業開始できるので、とにかく嫌な仕事から上手く逃げて(サラリーマンを辞めることを推奨していません)、自分の時間を好奇心の赴くまま、わがままに生きていくのがいいのではないでしょうか?

まとめ

時代の流れてとともに人材の価値の予想を述べている本ですが、実際はスパッと2タイプに分かれるわけではなく、会社だとオールドタイプ、自宅だとニュータイプ、ネットの中だとニュータイプとか環境によって、自分を使い分けていると思います。分かりやすくするためにタイプ分けしただけで、自分の生活環境でニュータイプの割合を増やしていくのがベストな変革だと思います。

すでにニュータイプの人材となっている人にはあまり有益な本ではないかもしれませんが、オールドタイプの人には”その気にさせる”本だと思います。(人は特別な人生のイベントが無いと変われないのが一般的なので本書を読んで過度な期待を持たずにコツコツ変革していくのがいいと思います)どんどん逃げて、試して、人生を楽しみたい人に贈る本。
是非下のリンクよりご購入ください。

目次

はじめに
第1章 人材をアップデートする6つのメガトレンド――ニュータイプへのシフトを駆動する変化の構造
第2章 ニュータイプの価値創造――問題解決から課題設定へ
第3章 ニュータイプの競争戦略――「役に立つ」から「意味がある」へ
第4章 ニュータイプの思考法――論理偏重から論理+直感の最適ミックスへ
第5章 ニュータイプのワークスタイル――ローモビリティからハイモビリティへ
第6章 ニュータイプのキャリア戦略――予定調和から偶有性へ
第7章 ニュータイプの学習力――ストック型学習からフロー型学習へ
第8章 ニュータイプの組織マネジメント――権力型マネジメントから対話型マネジメントへ

著者紹介

山口周(やまぐち・しゅう)
1970年東京都生まれ。独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。ライプニッツ代表。
慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科修了。電通、ボストン コンサルティング グループ等で戦略策定、文化政策、組織開発などに従事。
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)でビジネス書大賞2018準大賞、HRアワード2018最優秀賞(書籍部門)を受賞。その他の著書に、『劣化するオッサン社会の処方箋』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『外資系コンサルの知的生産術』『グーグルに勝つ広告モデル』(岡本一郎名義)(以上、光文社新書)、『外資系コンサルのスライド作成術』(東洋経済新報社)、『知的戦闘力を高める 独学の技法』(ダイヤモンド社)、『武器になる哲学』(KADOKAWA)など。神奈川県葉山町に在住。

本書評ブログの中で紹介させていただきました。
人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている
ふろむだ 著
もご興味があれば是非ご一読ください。

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